FP&A 実際には何をやっているのか?(番外編その1-プロセス-)

#004 フォーキャスト精度の向上や業務標準化など、日常業務以外のFP&Aの仕事について。

FP&A 実際には何をやっているのか?(番外編その1-プロセス-)
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#004 フォーキャスト精度の向上や業務標準化など、日常業務以外のFP&Aの仕事について。

こんにちは、西崎俊です。このニュースレター「FP&A Camp」では、管理会計やFP&Aについてお話しています。

前回・前々回の記事では、以下のメインの仕事について説明しました。

(1)ビジネスパフォーマンスのモニタリング
(2)予算(バジェット)と予測(フォーキャスト)の策定
(3)ビジネスモデルの評価と改善
(4)ERPやビジネスツールの導入、各種の業務推進プロジェクトへの参加

この4つに含まれないのですが、
もう一つ重要なタスクとして、「FP&Aプロセスそのものの高度化」というのがあります。
これは

  • 各種ツールの導入
  • フォーキャスト精度の向上、予算プロセスの改善
  • 標準化やドキュメンテーションの作成
  • FP&A部門自体の働きやすさ向上や残業削減
  • 部内の教育、新入社員の育成

など、自分たち自身に関わる事柄です。ちょっとメタ的な視点ですが重要な事柄ばかりなので、番外編としてそれぞれの項目について解説していきます。

各種ツールの導入


全社というよりは、FP&A部内で使うツールの話がメインです。

FP&Aが業務で使うツールは以下の5つのカテゴリに分けられます。

  • ERPやCRM、HRISなどの基幹システム
  • データウェアハウス、分析プラットフォーム
  • BIツール
  • EPMツール
  • ワークフローやコミュニケーションツール、プロセス

ここには、Excel、スプレッドシートが入っていません。
当たり前に使われているという理由と同時に、脱Excelが必須の課題だからです。

それぞれの活用方法については下記で詳しく解説します。
記事リンク FP&Aが使うツール

予算プロセスの改善、フォーキャスト精度の向上

外資系でFP&Aの仕事をしていると、
”Forecast Accuracy (フォーキャスト・アキュラシー)”という言葉が頻繁に飛び交います。
予測の精度を高めていく、という話ですね。
FP&Aチームは、外部への助言を行うだけでなく、自分たちの組織内部についても、常に自己批判と改善を繰り返して成長する組織でなくてはいけません。

予算策定プロセスの振り返りを実施

予算やフォーキャストの作成作業はそれ自体が非常に根気のいる作業であり、とりあえず作り終わって一息ついてしまうと、「喉元過ぎれば」で、予算のことなんて忘れてしまいたいのが本音です。
でも本当は、予算策定の最中には、「こんなデータも試算したかった」、「ここのコミュニケーションはこうすればもっとスムーズだった」、「タイムラインはもう少し余裕を持たせるべきだった」
など、いろんな改善点が出てきているはずです。
本来ならそれらの改善点について検討して、次の予算ではもっと良い仕事をすべきなんです。
ですが、そんなことは新しい日々の業務が入ってくる中で振り返られることもなく、また次年度の予算の時期を迎えてしまうんですね。

🤯
え、もう来年の予算の時期なの!? 1年経つの早くね!?

予算プロセスが終わって落ち着いた後などに、部内で半日、1日などまとまったワークショップの時間をとり、どうやったら改善ができるのか、ゼロベースで話し合う、ブレインストーミングの時間を設けてみましょう。
もう日付を決めてしまって、定期的に開催してもいいですね。
上司と部下で意見が対立することもあるでしょうが、成長痛として絶対に必要な要素です。

フォーキャスト精度の向上に取り組む

予算策定を精緻に行うのと同時に、フォーキャスト精度の向上も非常に重要な意味を持ちます。

収益を過大評価してしまえば、投資判断を誤ることになります。逆に機会損失につながることもあるでしょう。
あるいは、キャッシュフローを正確に予測することで、企業が十分な流動性を確保し、最適な資本を維持し、債務超過を防ぐのに貢献できます。
四半期ごとに正確な業績予測を出せないと、投資家からの不信感につながりますから、会社にとって極めて重要なプロセスといえます。

多くの企業が、人員を投下したりシステムを導入したりと、多くのお金を投下して予測の向上に取り組んでいます。
しかし、データだけでは測れない部分もありますから、完璧な予測というのはなかなか難しいです。
定量的なデータと定性的な状況判断を組み合わせて全体像を把握することも、FP&Aにとって大事な仕事です。
100%完璧な予測というのはあり得ませんが、精度を徐々に上げていくことはできます。

また、「予測を当てる」のが目的になってしまわないようにも注意しましょう。
われわれがすべきことは、予測を立ててそれをもとに行動を起こすことです。
ベストケースのシナリオ、ワーストケースのシナリオ、それぞれについて予測のモデルを立て、それぞれのシナリオにおけるビジネスプランを立てるのが、望ましいですよね。

「どの指標を改善すれば最悪のケースを防げるのか?」
「このKPIが想定通りに動けば、予算の数値から大きくブレることはないはずだから、ここにリソースを割こう。」

といった、アクションにつながるフォーキャストができていることが大事です。

FP&Aプロセスについて、標準化やドキュメンテーションの作成

FP&A領域の仕事は、多岐にわたります。
そのため、標準化・マニュアル化が難しい領域でもあります。

一方、慢性的な人手不足で業務の属人化も起こりやすく、それなのに(特に外資では)人員の入れ替わりが激しいです。

FP&Aプロセスが標準化されていないと、

  • 不正確な予算管理
  • 作業の手戻りなど工数の増加
  • コミュニケーションの行き違い
  • 情報の漏洩
    など様々な問題に繋がります。

そのため、どれだけ複雑なプロセスであっても、常に自動化・標準化の努力を怠ってはいけないと私は考えています。

プロセスの標準化は、マスターデータ管理や方法論の共有などはもちろん、マニュアル化も重要な要素です。

ドキュメンテーションの作成

ツール導入の箇所でも触れた通り、JIRAなどを使用して文書を管理するのがおすすめです。

💡
ファイナンス組織で文書をまとめる時のヒント5つ

1.社内用語・略語や、定義のまとめ
2.予算のスケジュールいつまでに何をするのか、どの前工程がどこに影響するのか
3.関連部門の責任者のリスト
4.分析はどのような手法を用いて行ったのか?方法論
5.予算管理システムの使い方をスクリーンショット付きでマニュアル化

こういった事項がいつでも見やすいところに保管してあれば、全員がプロセスを共有できますし、新しい人が入ってきた際にも、オンボーディングがスムーズに進みます。

イチから用意するのは大変な作業になるでしょう。
こういった知識のシェアは、誰かがやってくれるのを待っていては、絶対に完成しません。
特命チームを組んで、プロジェクトとして推進すべきですね。

このようなドキュメンテーションの重要性を理解して、評価してくれるマネージャーだといいですね。(評価しない人もいっぱいいます。)

FP&A部門自体の働きがい・働きやすさ向上や残業削減

「働きやすい職場」「働きがいのある職場」って何だろう?

「働きやすい職場」「働きがいのある職場」という言葉の定義はとてもあいまいです。
当たり前ですが、人によってそう思う基準が違うからですね。

上記であげた、ツールの高度化や、プロセスの標準化は、働きやすさ向上の最も重要な要素の一つです。

そのほかにも、

・心理的安全性
  情報交換の場があるかどうか
  上司や周りの人に相談しやすい環境か
  ミスが単に責められるのではなく、生産的なフィードバックがあるか
・就業の自由
  休みは取りやすいか
  本人の体調や、家族の状況に応じたサポートがあるか
  リモートワークや、フレックス制度はあるか
・やりがい
  会社の利益に貢献している実感が得られているか
  上層部と直接話す機会はあるか
  リーダーは組織のビジョンを明確にしているか

などなど、気にかけるべき点はたくさんありますよね。
自分の職場を振り返ってみましょう。

1on1ミーティングで働きやすさについて話してみたり、ワークショップなどを開いて部内で議論する機会を設けましょう。

どこから始めていいかわからない場合、ちょっとお高いですが、「マーサー」や「コーンフェリー」などのコンサルティング会社に依頼をすると素晴らしい研修をやってくれますよ。

Great Place to Wrokや、Openworkが実施している、「働きがいのある企業ランキング」の上位にランクインしている企業の取り組みを参考にするのも良いでしょう。

部内の教育、新入社員の育成

FP&Aの組織にとって、部内の教育と新入社員の育成は最も後回しにされがちな課題です。
それは、以下のような理由によるところが大きいでしょう。

  • 制度会計と違って、管理会計や経営管理はフォーマルな教科書や勉強法が少ない
  • 業務が多岐にわたるため、全ての領域を教育でカバーしきれない
  • 各自が自分の業務に手いっぱいで時間が取れず、教育専門の担当者をおく余裕もない

FP&Aの求人にはよく求める資質の欄に「Self Starterであること」という記載があったりしますが、それは裏を返せば、「部内で手取り足取り教えたりはしないから、自分で調べてね。」ということです。

とはいえ、部内で正しく教育がされていないと、以下のような問題を引き起こします。

  • 知識の不足による非効率的な業務や、オーバーワーク
  • キャリアアップに繋がらないという心理からくる離職
  • 将来の管理者候補の育成ができない

私は、部内の教育を促進して部門全体として成長し、優秀な人材を繋ぎ止めるためには、以下のような施策が効果的だと思っています。
というか、私がスタッフレベルだった時にあって嬉しかったことですね。

💡
社員の育成を促す5つの施策

1.メンター、バディ制度の導入
2.eラーニングの導入
3.評価基準の明確化
4.キャリアパスの提示
5.Google流10%ルールの導入

まとめ

今回は内部的な話になりました。どちらかというと、マネージャー向きの記事だったかもしれませんね。
効率的な組織や働きやすさを追求することも、最終的には会社の利益につながります。
たまには一度立ち止まってこういったことを考えてみるのも良いと思います。

大企業では、これらのプロジェクト等を統括する、
CoE(Center of Excellence)のような組織が置かれる場合もあります。
みなさんの会社にもありますか?



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