そうはいっても管理会計って実際どう勉強すればいいのさ?

#011 資格学習から一歩突っ込んだ、より具体的な理論を学習する方法

そうはいっても管理会計って実際どう勉強すればいいのさ?
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#011 資格学習から一歩突っ込んだ、より具体的な管理会計学習

こんにちは、西崎俊です。
このニュースレター「FP&A Camp」では、管理会計やFP&Aについてお話しています。

前回の記事では、FP&Aに有効な資格について考えました。

USCPAやUSCMAはその代表例で、これらの資格の勉強を通して管理会計の体系的な理論を学ぶことができます。
しかし、理論と実務の間には隔たりがあります。資格をとったからすぐに実務で使えるとは限りません。逆に、実務をずっとやっていると壁にぶち当たった時になかなか解決方法が出せないこともありますが、そんな時は一度理論に立ち戻って考えてみることも必要です。
私は、理論と実務を行き来しながらバランスよくスキルを習得していくことを常に心がけています。

今回は、そんな資格と実務の間のギャップを埋めるより実践的な勉強方法について考えたいと思います。

💪
資格学習から一歩突っ込んだ、より具体的な理論を机上で学習する方法を考えます。
資格で勉強した理論をさらに掘り下げて、個別の論点やケーススタディを使用してより理解を深めていく勉強方法を紹介します。

(1)教科書や参考書の活用

基本的な管理会計の概念や理論は資格の学習で学ぶことができますが、より実務的な個別論点の学習には専門書が有用です。
管理会計の専門書には、より実例が豊富だったり、最新の知見が反映されているものも多いです。
資格勉強で基礎を学び終えたら、さらに専門的な書籍を読んでみるのがオススメです。

私がオススメしたいのが以下の2冊です。

管理会計〔第七版〕 櫻井 通晴 著

まずはこの著作です。管理会計の大家である櫻井先生による定番書です。
1,000ページ近くという大ボリュームですので全てを通読するのは難しいかもしれませんが、管理会計に関する論点が体系的にまとまっており、バイブル的な書物としてぜひ手元に置いておきたい一冊です。

この書籍の良いところは、「管理会計とは企業価値創造のためのものである」という原則から議論をスタートしており、管理会計の手法だけでなく経営戦略の話にも多くページ数が割かれている点です。

なおかつ、そもそも企業価値と言っても株価や利益、DCF法で算定される「経済価値」以外にも顧客価値とか社会価値、組織価値のような概念も包括して考える必要があるよね。といったように論考が丁寧なのがとても好印象です。

昔から読まれているロングセラーでありながらも、改訂を重ねているので最新の手法や知見が紹介されているのも良いポイントですね。

Financial Planning & Analysis and Performance Management (Wiley Finance)

こちらは英語の書籍になります。
出版社のWileyは200年以上の歴史を持つ名門で、学術図書を得意としています。USCPAの問題集なんかも出していますね。

本書はFP&A領域で非常に長いキャリアと実績のあるJack Alexander氏による、FP&Aについて体系的に書かれた意欲的な書籍です。

著者はLinkedInでも有益な情報を発信されていますので、気になる方はフォローしてみてください。
Jack Alexander - LinkedIn

この書籍を読むと、日本でいわれる「管理会計」とアメリカの「FP&A」はやはり全然違うものなんだな、という印象を受けるはずです。

この本の良いところは、表面的な理論に終始せず、各トピックについてそれがなぜFP&Aにとって重要な分析となるのか、実際の数値を使って図示している点です。

例えば、ヘッドカウントの管理手法について書かれたチャプターの図表が載っているのですが、これは、私が実務で使用している表にかなり近いです。
このように実際に実務で使われているような表やグラフ、ダッシュボードがとてもたくさん載っています。

ここまで詳細にFP&Aの実務をを記した書籍は日本語ではまだ存在しません。
英語があまり得意でない人にとっては読むのが苦痛と感じるかもしれませんが、そのめんどくささを補って余りある良書だと思います。
図表がグラフが非常に多いので、英語が苦手な人でも楽しめるはずです。

改善して欲しい点は、グラフのフォーマットがほとんでExcelで、ちょっと見づらく古臭い感じがする点でしょうか…笑 まあ著者が60代の方ですのでしかたないですね。
そこは本質ではないので全く問題はないのですが、次回の著作ではPowerBIやTableauでの実例も見てみたいですね。

本当にオススメの書籍です。ハードカバーは9,000円、kindleでも6,000円する本ですが、買って損はないと断言します。

(2)オンラインコースやウェビナーの受講

Udemyや Courseraなどのオンライン学習プラットフォームには、管理会計のコースがたくさんあります。
その中でも、理論を説明するだけのものではなく、実際にスプレッドシートなどを使用して手を動かすエクササイズがついてくるものを選んで受講すれば、より実践形式に近い知識を習得することができます。

以下、私が実際に受講しておすすめできるコースを紹介します。
以下はすべて英語です。udemyには日本語の講座もたくさんありますが、価格に対して内容が充実しているのは英語のコースの方が多いと思います。日本語は5時間以下のコースがほとんどなのに対して、英語のコースは同じ値段で50時間とか普通にあります。

Udemy


1️⃣ Financial Planning & Analysis: Building a Company's Budget

予算策定の手法をStep by Stepで解説してくれているベストセラー講座です。
実際にExcelのサンプルがついており、実務に即した内容になっています。
内容は英語ですが、かなり聞き取りやすい平易な英語で、字幕もついているので問題はないでしょう。
FP&A未経験の方はもちろん、経験者でも新たな発見があると思います。

2️⃣Managerial and Cost Accounting: A Comprehensive Guide

これはすごい講座です。
管理会計と原価計算に関するトピックが全て網羅された53.5時間もの完全ガイドです。これ、予備校とかで受けたら多分100万円分くらいの価値があるんじゃないでしょうか。

良い時代になったものですね。
若干スライドがダサいのですが、英語は平易なので問題ないと思います。
とりあえず買っておいて、何か困った時にリファレンスとして活用するのも良さそう。

(3)公開データを使ったケーススタディや分析

実際の企業の事例を基に、管理会計の理論や概念を適用し分析してみるのも良い勉強になります。
企業のIRページに行って、最新の財務諸表をダウンロードしてきましょう。
自分の会社がいる業界の各社の簡単なRatio analysisをやってみるだけでも、すごく解像度が上がります。

意外な気づきがあったりもするのでぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

このエクササイズをやっていると、財務諸表のデータがcsvとかで欲しくなりますよね?

今まではSpeedaなど利用料のすごく高いツールを使う必要があったのですが、
今はバフェット・コードという神サービスがありますので、これを使わない手はありません。

バフェット・コード

私もサービスがβ版だった時からずっと応援していて、今後の期待の意味も込めてライトプランですが有料プランを契約しています。
今後も機能改善がいろいろありそうなので、開発者の方々には期待しかないです。

(4)論文や専門記事の読解

管理会計に関する最新の研究や専門的な議論を知るために、学術誌や専門誌を読む。
これも私はマネージャーになってから積極的に取り入れていることですが、専門誌などで最新の知識を取り入れるのも理解が深まります。

英語圏では「The Accounting Review」や「Management Accounting Research」などの学術誌があります。
日本でも中央経済社の「企業会計」、「会計・監査ジャーナル」、「旬刊経理情報」などがあります。

FP&Aの実務者にとっては、ちょっと専門的すぎる内容になるかもしれませんが、会計基準についての最新の議論や動向なんかは、将来に向けて備えるという意味でもマネージャーはぜひ摂取してお
くべき情報じゃないかなと思います。

(5)自分の会社の実際のデータを用いた分析


自らが所属する組織の実際のデータを用いて、数値分析やシミュレーションを行い、理論を実務に適用するというやり方です。
もしあなたが現在会社の財務数値にアクセスできる立場であれば、それらの数値を使って実際に学習した理論を使って分析を行ってみるのが一番のやり方です。

私は、営業事務をやっていた際に会社の営業活動データにアクセスすることができました。
自分に課された業務としては単調作業ばかりをやっていたのですが、昼休みや終業後など業務時間外の時間を見つけては、自分でExcelで営業活動データの分析をしていました。

どこの営業部の誰が受注率が良いだとか、一番経費を効率的に使っているのは誰だろうとか、商談から売上までのサイクルが一番早いのはどこの営業部だろうか、といったことを自主的に調べていたんですね。
あくまで自分の仕事ではないので、調べたことを誰かにプレゼンすることもありません。
しかし、新卒2年目で仕事が単調に感じ始めていた私にとってはこのエクササイズに取り組むことで日々の業務にもプラスの効果がたくさんありました。
いつもやっている単調作業に少しずつ色がつき始め、これも大事な仕事なんだ、意味のある仕事なんだ、と思えるようになりました。

そしてある時、営業部の会議で営業の課長と雑談をしていた時に、ポロッと「課長さんの所のAさんは受注率も良くて優秀ですよねー」と話してしまったんですよね。
その時私は「しまった」と思いました。新卒2年目の私にとってはこそこそとデータを調べて自分で分析をしているのは後ろめたいというか、余計なことをやって怒られるかも!という気がしたんですよね笑

その時は、何も起きず営業課長も「そうそう!彼は子供ができたばかりで気合い入っててねー。」なんて話していたのですが、どうやら後になってその営業課長が私の上司に、「君の所の西崎くんって数字強いの?役に立ちそうだね。」と言ってくれたらしいのです。

その結果、私は経理部の中の管理会計をやっているチームに異動の話がきて、キャリアをファイナンスに変えることに成功したのです。
もちろん、その営業課長の一言だけが理由ではないのですが、自主的にこういった数値の分析に取り組んでいて良かったなと思う出来事です。

まとめ

今回は資格学習の次にやるべき、より具体的な理論と実務をつなぐ勉強法について考えてみました。
上記では紹介しませんでしたが、スキルを得るには他にもいろいろな方法があると思います。

業界団体やセミナーへの参加
ディスカッショングループや学習サークルの参加
専門ソフトウェアの習得

などなど。

本当に使える知識というのは、一朝一夕では身につきません。他の人とは比較しすぎないように、楽しみながら学習していきたいものですね。
それでは次回の記事でお会いしましょう!



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