FP&A・管理会計 用語集|予実管理からローリングフォーキャスト、SaaS指標まで

FP&A・経理・管理会計の実務でよく出る用語を、日本のJ-GAAP実務を前提にまとめた用語集です。予実管理やローリングフォーキャスト、ドライバーベース予算、繰延税金資産、ARR・NRRなどのSaaS指標まで、意味と使いどころを簡潔に解説します。

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FP&Aや経理の現場では、英語由来の概念と日本の制度会計の用語が入り混じります。英語圏では当たり前に使われるのに日本語の解説が乏しい言葉も多く、意味を取り違えたまま会議で使ってしまうことも起きます。この用語集は、実務でよく出る言葉を日本のJ-GAAP実務の前提でまとめました。気になる語から拾い読みしてください。

生成AIに指示を出すときも、用語が曖昧だと出力がぶれます。言葉の意味をそろえてから、経理・FP&Aのための生成AI活用ガイドと合わせて読むと、プロンプトの精度が上がります。

FP&A・経営管理の基礎

FP&A(Financial Planning & Analysis)

財務計画・分析を担う機能と職種を指します。予算・予測・実績分析を通じて、経営の意思決定を数字で支えるのが役割です。日本では経理と経営企画にまたがって担われてきたため、独立した職種としての認知は英語圏より遅れています。

予実管理

予算(計画)と実績を突き合わせ、差異の原因を分析して次の打ち手につなげる一連の活動です。「予算比90%でした」で止めず、なぜずれたか、通期にどう響くか、何をするかまで踏み込むのが実務水準です。FP&Aの主戦場であり、予実差異分析のプロンプト集(M1・無料)で具体的なやり方を公開しています。

差異分析(Variance Analysis)

実績が予算や前年からどれだけ、なぜ離れたかを分解する手法です。売上差異なら数量差異・単価差異・ミックス差異に分け、利益差異なら売上由来かコスト由来かを切り分けます。原因を定量で詰めることで、感想ではなく事実に基づく説明ができます。

ビジネスパートナリング(Business Partnering)

経理・FP&Aが「数字を締める人」にとどまらず、事業部門の隣に座って意思決定を支える働き方です。レポートを出すだけでなく、前提を問い、選択肢の損益を示し、議論に加わります。英語圏のFP&A論では中心的なテーマですが、日本語の実務解説はまだ少ない領域です。

予算・予測の手法

英語圏で体系化が進み、日本語の解説が薄い領域です。ここを押さえると予算の作り方が一段深くなります。

ローリングフォーキャスト(Rolling Forecast)

年度で固定した予算とは別に、毎月または四半期ごとに将来12〜18か月の見通しを更新し続ける予測手法です。期末が近づくほど見える範囲が狭くなる年度予算の弱点を補い、市況の変化を早く織り込めます。運用負荷は上がるため、更新頻度と粒度の設計が肝になります。

ドライバーベース予算(Driver-Based Planning)

売上や費用を金額で直接置くのではなく、「客数 × 客単価」「人員 × 単価」のように結果を生む要因(ドライバー)に分解して組み立てる方法です。前提を変えたときの影響が追いやすく、シナリオ分析と相性が良い。どのドライバーを選ぶかで予算の説得力が決まります。

ゼロベース予算(Zero-Based Budgeting / ZBB)

前年実績を出発点にせず、すべての費用をゼロから積み上げて正当化する予算編成です。惰性で続く費用を見直せる一方、手間が大きいため、毎年ではなく数年に一度や特定費目に絞って使うことが多い手法です。

シナリオ分析・感応度分析

前提(成長率・為替・金利など)を複数置き、それぞれで業績やキャッシュがどう動くかを試算する手法です。感応度分析は1つの前提だけを動かして影響の大きさを測り、シナリオ分析は複数前提のセット(楽観・標準・悲観など)で全体像を描きます。取締役会向けの説明で重宝します。

13週キャッシュフロー予測(13-Week Cash Flow)

週次で13週(およそ一四半期)先までの入出金を予測し、毎週ローリングで更新する資金管理手法です。英語圏では事業再生や資金が逼迫した局面の定番ですが、日本では月次の資金繰り表が中心で、週次ローリングの実務解説はほとんどありません。資金がタイトなときほど威力を発揮します。

着地見込み(フォーキャスト/見込み)

期の途中時点で、通期がどこに着地しそうかを実績と残り期間の予測から見積もることです。予算は計画、着地見込みは現実的な予測で、両者を区別して語れることがFP&Aの基本です。

管理会計・原価

管理会計

社外報告のための財務会計と対をなし、経営の意思決定や業績管理のために社内で使う会計です。原価計算、予実管理、KPI設計などが含まれます。制度に縛られない分、自社の実態に合わせて設計の自由度が高い。

限界利益・貢献利益

売上から変動費を引いた利益を限界利益と呼びます。固定費の回収余力や、追加受注の採算、損益分岐点の把握に使います。製品やセグメントごとの限界利益を見ると、どこで稼いでいるかが見えます。

標準原価・原価差異

あらかじめ定めた標準原価と実際原価の差を分析し、数量差異・価格差異・能率差異などに分解する手法です。製造業の原価管理の中心で、差異の原因を現場の改善につなげます。原価計算のプロンプト集も参考にしてください。

配賦

共通費や間接費を、一定の基準で各製品・部門に割り振ることです。基準の選び方で原価が変わるため、配賦ロジックの妥当性が論点になります。

財務分析・モデリング

三表連動モデル(Three-Statement Model)

損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)・キャッシュフロー計算書(CF)を数式で連動させた財務モデルです。売上を伸ばせば運転資本や投資が要り、それが現預金や借入に跳ね返る、という関係を一体で扱えます。BSがバランスし、CFの期末残高がBSと一致することが、組めているかの確認点です。

DCF(Discounted Cash Flow)

将来のフリーキャッシュフローを割引率で現在価値に引き直し、事業や企業の価値を求める評価手法です。投資判断やM&Aのバリュエーションで使います。前提(成長率・割引率・継続価値)の置き方で結果が大きく動くため、感応度の確認が欠かせません。

フリーキャッシュフロー(FCF)

営業活動で生んだキャッシュから、事業維持・成長に要る投資を引いた、自由に使える資金です。利益が出ていてもFCFがマイナスなら資金は減ります。利益とキャッシュは別物だという感覚が、財務の出発点です。

運転資本(Working Capital)

売上債権・棚卸資産・仕入債務の差し引きで生まれる、事業を回すために寝かせている資金です。売上が伸びると運転資本も膨らみ、キャッシュを圧迫することがあります。回転期間(日数)で管理します。

SaaS・KPI指標

サブスクリプション事業で使う指標群です。定義が社内でそろっていないと議論が噛み合わないため、計算ロジックの統一が前提になります。KPI・SaaS指標のプロンプト集で設計の具体例を扱っています。

ARR / MRR

ARRは年間経常収益、MRRは月間経常収益で、継続課金から見込める収益の規模を表します。スポット収益は含めず、解約や増減を反映して動かします。SaaSの成長を測る基準値です。

チャーン(Churn)

一定期間に失った顧客や収益の割合です。顧客数ベースのロゴチャーンと、金額ベースのレベニューチャーンを区別します。既存からのアップセルが解約を上回ると、後述のNRRが100%を超えます。

NRR(Net Revenue Retention)

既存顧客だけを見たとき、1年後に収益が何%残ったかを、解約・ダウングレード・アップセルを通算して測る指標です。新規獲得をゼロにしても収益が伸びるかが分かるため、SaaSの健全性を映します。100%超が一つの目安です。

LTV / CAC

LTVは1顧客が生涯にもたらす利益、CACは1顧客の獲得費用です。LTVがCACを十分に上回り、CACを回収する期間(CACペイバック)が短いほど、獲得への投資が報われます。ユニットエコノミクスの中核です。

ユニットエコノミクス

顧客1単位あたりの採算で、事業全体ではなく「1顧客が儲かるのか」を見る考え方です。LTVとCACの関係で評価します。ここが崩れたまま規模を追うと、成長するほど赤字が深くなります。

Rule of 40

売上成長率と利益率(営業利益率やFCFマージン)の合計が40%を超えているかで、成長と収益性のバランスを測る目安です。成長を採るか利益を採るかの議論で、共通のものさしとして使われます。

制度会計・税務・開示(J-GAAP)

J-GAAP

日本の会計基準の総称です。生成AIは英語圏のデータに引きずられ、放っておくとUS-GAAPやIFRSの前提で答えがちです。プロンプトのRole(役割)で「日本・J-GAAP」を明示すると、用語と処理のずれを防げます。

連結決算

親会社と子会社を一つの企業集団とみなして作る財務諸表です。内部取引の消去、未実現利益の消去、のれんや非支配株主持分の処理など、単体にはない論点が増えます。連結決算のプロンプト集で論点整理を扱っています。

のれん

買収額が、取得した純資産の時価を上回る差額です。J-GAAPでは規則的に償却し、IFRSでは償却せず減損のみで判定するという違いがあります。どちらの基準かで損益への効き方が変わります。

繰延税金資産・税効果会計

会計と税務のズレ(一時差異)を、将来の税負担の増減として財務諸表に反映する仕組みです。繰延税金資産は、将来の課税所得で回収できる見込みがあって初めて計上できます。回収可能性は会社分類に沿って判断し、判断を誤ると損益への影響が大きいため、税務・税効果のプロンプト集でも安全弁を厚く設計しています。

別表四・別表五

法人税申告で使う調整表です。別表四は会計上の利益から課税所得を導く損益の調整、別表五は利益積立金など純資産項目の調整を担います。税効果や申告調整の議論で前提になる用語です。

J-SOX(内部統制報告制度)

上場企業に求められる、財務報告に関わる内部統制の整備・運用と評価の制度です。文書化、整備状況・運用状況の評価、不備の是正が実務の柱になります。米国SOXとは範囲や運用が異なります。

インボイス制度・電子帳簿保存法

インボイス制度は、仕入税額控除に適格請求書(インボイス)を要する消費税の仕組みです。電子帳簿保存法は、帳簿・書類を電子データで保存する際の要件を定めます。どちらも要件と経過措置の最新確認が欠かせません。実務対応のプロンプト集も参考にしてください。

FP&Aのキャリア・役割

経営企画との違い

経営企画は中期計画やM&A、全社戦略を扱う範囲が広く、FP&Aは予算・予測・実績分析を軸に数字で経営を支えます。日本企業では両者が重なることも多く、境界は会社ごとに違います。

FP&A成熟度(FP&A Maturity)

組織のFP&Aがどの段階にあるかを、データ・プロセス・人の観点で段階づける考え方です。手作業の実績集計に追われる段階から、ローリングフォーキャストやドライバーベース計画で先を読む段階へと進みます。自社の現在地を測る物差しとして使えます。


用語の意味がつかめたら、次は実際にAIへ指示を出してみてください。経理・FP&Aのための生成AI活用ガイドで、プロンプトの型と効く場面をまとめています。各業務の完成プロンプトと出力サンプルはコンプリートパックに揃えています。

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