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FP&Aが仕事で使うExcel以外のソフトウェア・ツール

目次

こんにちは、西崎俊です。

このニュースレター「FP&A Camp」では、管理会計やFP&Aについて情報を発信しています。

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以前の記事「FP&Aに必要なスキル(スキルセット編)」では、FP&Aに必要なスキルセットとして、ERPの知識/BIの知識をあげました。

今回は、FP&Aが業務で使用するITツールというテーマで、以下の4つのカテゴリでさらに詳細にみていきます。

柱となる4つのツール

  • ERPやCRM、HRISなど基幹システム
  • BIツール
  • EPMツール
  • ワークフローやコミュニケーションツール、プロセス 周辺領域となるツール

製品例は海外の製品が多くなるのですがご容赦ください。

🏢ERPやCRM、HRISなど基幹システム

基幹システムの各部門連携を表すアイソメトリックイラスト

基幹システムは企業のコアな業務プロセスを支えるシステムで、各部門の情報を一元管理することができます。 正確かつタイムリーなデータを提供することで、FP&A業務の品質と効率性を向上させることができます。

ひとくちに基幹システムといっても、会計システムから販売管理・生産管理・人事労務管理などさまざまな領域があり、一つの領域に特化した製品もあれば、全ての領域をカバーするシステムもあります。

FP&Aにおける使用方法としては、例えばERPからは売上や原価、経費などの実績データを取得し、予算や予測との差分分析を行ったり、CRMからは営業情報を取得して収益予測の精度を上げるなどの活用方法が考えられます。

今回の記事では詳細には取り上げませんが、いずれもFP&Aが業務を行うにあたっては欠かせないシステムとなっています。

グローバルではSAPやOracleがスタンダードですが、日本国内でも規模別・ソリューション別で多くの製品が発売されています。 OBIC,富士通,JSOL,大塚商会などが伝統的に高いシェアを占めていますが、 マネーフォワードやラクスなども中小企業向けを中心に存在感を伸ばしています。

代表的な製品

ERP (Enterprise Resource Planning) SAP S/4HANA Oracle ERP Cloud Microsoft Dynamics 365 Finance & Operations Intuit

CRM (Customer Relationship Management) Salesforce Microsoft Dynamics 365 Customer Engagemen HubSpot CRM

HRIS (Human Resource Information System) Workday ADP Oracle HCM Cloud

「ERPの使用経験ってどういうこと?」という質問について、以下の記事で解説しています。

🔗SAP使用経験って、どの程度のことを言うの?

🚀EPMツール (Enterprise Performance Management)

EPMツールによる予算管理の高度化を表すイラスト

EPMツールは、業績管理や予算策定、業績予測などのFP&A業務を支援するためのツールです。統合的な業績管理を実現し、業務の効率化と正確性の向上を図ることができます。

予算策定のプロセス管理、各部門からの予算データの収集や集計、業績予測の作成などの業務を行います。

予算策定は伝統的にExcelベースで行われることがほとんどでしたが、

・複雑・大規模なモデリングに対応できない ・バージョン管理ができない ・セキュリティの欠如

等の理由でExcelでの予算管理が限界を迎えてきています。 それらの問題に対処するために生まれたのがEPMや、FP&Aツールといわれる製品群です。

ツール導入による定量的な業務効率化効果

EPM/FP&Aツールを導入する目的は、単なるExcelの置き換えではなく、業務時間の圧縮と意思決定スピードの向上にあります。ベンダーが公開している導入事例では、以下のような定量的な効果が報告されています。

  • Abacum導入企業では、予算サイクルを最大50%短縮し、手作業のデータ入力を大幅に削減したとの報告があります。
  • OneStreamやPlanfulの導入事例でも、月次クローズ・レポーティング工数の削減、複数バージョンのシナリオ比較の高速化といった効果が示されています。
  • Workday Adaptive PlanningはExcelとシームレスに連携できるため、既存のワークフローを大きく崩さずに導入効果を得やすいとされています。

ツール選定においては「機能の豊富さ」だけでなく、「自社の予算サイクルにおけるどの工程を、どれだけ短縮できるか」という観点で費用対効果を評価することが重要です。

これらの計画ツールの選定ポイント

これらの計画ツールについても、ERPに対応するように、会計・販売管理・人事管理など様々な要素が含まれており、

・勘定科目ベースの財務諸表モデリングだけでなく、販売計画や生産計画との連携ができるか ・どのようなディメンションがモデルに含まれるか? ・週、月、四半期などの単位で計画できるか? ・カスタムロールアップや階層を使用して計画できるか?

など様々な機能が必要になってくる領域です。予算策定のプロセスは企業によって異なるため、ツール選び・導入は非常に難しいですね。

かつてはこのカテゴリのリーダーといえばAnaplanの名前が真っ先に挙がっていましたが、2026年時点ではエンタープライズ向けの統合ML予測でOneStreamがリードし、Planful・Workday Adaptive Planning・Board・CCH Tagetikなども主要な競合として並列で評価される市場になっています。Anaplanも引き続き有力な選択肢ですが、「唯一のリーダー」という状況ではなくなっています。

代表的な製品

2026年現在、FP&A/EPM領域で名前が挙がる主要製品は以下のとおりです。

OneStream Anaplan Workday Adaptive Planning Planful Vena Board CCH Tagetik Pigment Datarails Abacum Mosaic Jirav Oracle EPM SAP BPC (Business Planning and Consolidation)

用途別・企業規模別の簡易マッピング(2025〜2026年版)

各製品の位置付けを、企業規模・向いている用途・Excel連携の観点で整理すると、以下のようになります。

製品向いている企業規模特徴・向いている用途Excel連携
OneStream大企業統合ML予測、連結会計・複数部門にまたがる拡張性の高い計画基盤あり
Anaplan中堅〜大企業販売・SCM・要員計画などクロスファンクショナルな大規模モデリングあり
Workday Adaptive Planning中堅〜大企業Excel/PowerPointとのシームレス連携、Workday HCMとの親和性強い
Planful中堅企業連続計画(Continuous Planning)、構造化・非構造化の両方に対応あり
Vena中堅企業Excelネイティブ体験を維持したまま統制・ワークフローを付加非常に強い
Board中堅〜大企業統計モデリング・ERP連携に強い、BI+計画のハイブリッドあり
Pigment成長企業〜大企業Finance/HR/Sales/ESGを横断するクロスファンクショナル計画あり
Datarails中小〜中堅企業既存のExcelモデルをそのまま活かした自動化・可視化非常に強い
Abacum成長中のミッドマーケット予算サイクル短縮、リアルタイム指標、シナリオプランニングあり
Mosaic / Jiravスタートアップ〜中小企業費用計画・売上計画・要員計画をスモールスタートで導入あり
Oracle EPM / SAP BPC大企業Oracle/SAPのERPを基幹に据える企業の統合計画基盤あり

AI機能の最新動向(2026年)

2026年のFP&Aツール市場における最大のトレンドは、AI/機械学習機能の急速な組み込みです。

  • 予測の自動化:OneStreamやWorkday Adaptive PlanningはML予測を標準機能として提供し、過去実績から自動で予測値を生成できます。
  • シナリオ分析の高速化:Pigment、Abacum、Anaplanなどでは、複数シナリオ(ベース/楽観/悲観)をワンクリックで比較・可視化できるAI支援機能が強化されています。
  • 自動インサイト生成:ダッシュボード上で「なぜ売上が予算未達なのか」といった要因分析コメントを自然言語で生成する機能が普及しつつあります。
  • 生成AIとの統合:IBMなどのベンダーもFP&A領域でのAI活用を推進しており、対話型UIでの計画作成やレポート作成が現実的なオプションになってきました。

ツール選定においても、「AI予測の精度と説明可能性」「自社データでどこまでチューニングできるか」は今後の重要な評価軸になります。

国内向けEPM/予算管理ツール

日本語UI・国内サポート・国内会計慣行への対応を重視する場合は、国産のEPM/予算管理製品も選択肢に入ります。

Loglass (ログラス) DIVA BizForecast Sactona Manageboard Fusion_Place

ASPICのSaaSカタログなどにも掲載されている領域で、上場企業や中堅企業を中心に導入が進んでいます。国産ツールは、日本の勘定科目体系や部門構成、稟議・承認フローとの親和性が高い点がメリットです。一方で、グローバル拠点を持つ企業では海外ツールとの機能比較を丁寧に行う必要があります。

📊BIツール(ダッシュボード・レポーティング)

BIツールによるデータ可視化ダッシュボードのイラスト

BIツールは、大量のデータから有益な情報を抽出し、可視化するツールです。

FP&A業務では、データの分析やダッシュボードの作成を行い、経営層に対してインサイトを提供することが求められます。 従来こういった業務は表計算ソフトを使用して数値をまとめ、プレゼンテーション資料を作成して行うのが主流でした。 今でもそのような仕事は普通にあります。

しかし、データが大容量化する一方でより迅速な意思決定も求められるようになると、こういった作業環境では時間的な制約がボトルネックになってきました。 BIツールは大量のデータを瞬時に可視化し、データのドリルダウンやWhat-IF分析が可能なダッシュボードの作成を可能にします。

これらのBIツールは基幹システムを含む様々なデータソースと接続できますが、大規模なデータを保有する環境では、合理的なレポート作成のためにETLプロセスを正しく設計して、FP&AチームがRDBのデータを活用しやすくしておくデータガバナンスも大変重要です。

データ分析は準備が9割という格言もあるほどです。 そのため、データベースに精通したエンジニアがファイナンス組織に所属していることも、大事な要素です。

代表的な製品

FP&A文脈でよく使われるBIツールと、それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • Power BI (Microsoft):Microsoft 365/Azure環境との親和性が非常に高く、ExcelユーザーがDAXやPower Queryを通じて自然にステップアップしやすい。ライセンスコストも比較的抑えやすく、大企業〜中堅企業のFP&Aで採用が拡大している。
  • Tableau:データエンジニアリングの下地がなくても、ドラッグ&ドロップでリッチなVizを作りやすい。探索的なデータ分析やアドホック分析、経営向けの高品質なダッシュボードに強い。
  • Qlik Sense / QlikView:独自の連想エンジンにより、複数データソースを跨いだドリルダウンや相関分析が得意。製造業や小売など、多次元でのデータ分析ニーズが強い業種で採用されている。
  • Looker (Google Cloud):LookMLによるモデリングを前提とし、データガバナンスと「Single Source of Truth」を重視する組織に向く。BigQueryなどのモダンデータスタックとの親和性が高い。

💬ワークフローやコミュニケーションツール、文書管理、タスク管理など

ワークフローとチームコミュニケーションを表すイラスト

FP&A業務は多くの部門や人々とのコミュニケーションが必要です。

効率的なコミュニケーションを実現するために、ワークフローやコミュニケーションツールの導入は不可欠です。

例えば、ワークフローツールを使用して予算申請や承認のプロセスを自動化したり、メールに頼らないモダンなコミュニケーションツールを使用して関連部門や経営層との情報共有をスムーズに行う必要があります。

また、予算策定のプロセスは長く多人数が関わるプロジェクトになるため、マネージャーはタスク管理・プロジェクトマネジメントツールの必要性を感じることもあると思います。

代表的な製品

ワークフロー・タスク管理・プロジェクト管理 Asana Trello Wrike

文書管理 JIRA (Atlassian) Microsoft SharePoint

コミュニケーション Microsoft Teams Zoom Slack

🌵余談1 その他のツール

FP&A周辺の多様なITツールエコシステムを表すイラスト

他にも、FP&Aの仕事で扱うことになる可能性がある周辺領域のツールはたくさんありますね。

経理領域になる 自動消込ツール、請求管理システム、またBlacklineなどの決算支援システム。 Snowflake,Databricksなどの データウェアハウス、分析プラットフォーム。

などなど会社やその人の職責によって扱うツールは幅広くなります。

また、近年は各領域で生成AI・機械学習を活用したツールも急速に増えており、Causalのような「スプレッドシート脱却型」の財務モデリングツールや、ChatGPT/Copilotを組み込んだ分析ワークフローも実務で使われ始めています。FP&AとしてはAIそのものを扱うというよりも、EPMやBI、経理系ツールの中に組み込まれてくるAI機能を、いかに業務に活かすかという視点が重要になってきています。

ただ、これらのツールは全員が必須で使うとも限らないため、今回の記事からは除外しました。また機会があれば別の記事で紹介したいと思います。

🤖余談2 RPAが入っていない理由

単純に、私個人がRPAにあまり良い印象をもっていないからです。

各システムからデータをダウンロードして、レポート作って…みたいな作業、Excel帳票やマクロは適切なSaaSソリューションに置き換えられるものが多いはずです。 データ分析についてはETLを最適化してデータベースを作りBIで分析が理想のはずです。 他にも、正しくAPI連携でデータをやり取りするのが理想だったり。 ニッチな領域でも、正しくベンダー選定を行えば最適化なテックスタックを構築することができるはずです。

RPAのメリットは、現状のやり方を変えずに前例踏襲になりますし、低コストで自動化ができることです。 そのせいで、すぐに結果が欲しい幹部に好まれるんですよね。 これは何もせずに生産性の悪い作業を続けるよりはずっといいでしょう。 ただ、私からするとどうしても、産みの苦しみを避けて本質的な効率化から目を背けている感じがしてしまうのです。

コストをかけない人的、システム的コストを避け続けた結果、もう誰もメンテナンスができないハウルの動く城が出来上がってしまうケース、多いのではないでしょうか。

以上、FP&Aが仕事で使うツールについてざっと解説しました。

ERPの使用経験ってどういうこと?などの個別のトピックについても、今後記事を充実させていきたいと思いますのでぜひメールでの更新通知も受け取ってくださいね。

それでは!

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